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News & Blog東京探訪1日目_渋谷編|暖簾と光、公園と建築、アートと庭
東京探訪1日目、神楽坂編の続きです。
お昼を食べたあと、電車で渋谷へ移動しました。
午後は、暖簾と光、公園と建築、そしてアートと庭。
素材や空間の「組み合わせ方」を見て回った半日です。
中川政七商店 渋谷店|木の架構と、光の設計

最初に向かったのは、中川政七商店の渋谷店。
奈良で300年以上続く老舗が、2019年11月にオープンした旗艦店です。
内装デザインは、ABOUTの佛願忠洋さん。
入口には麻の暖簾と木の架構。
店内にも木の柱と梁が組まれていて、布を掛けるだけで、売場がそのまま一つの部屋のようになっています。
そして、この空間を引き立てているのが照明です。
照明設計を手がけたのは、Filaments(フィラメンツ)。
2019年に設立された照明デザイン事務所で、店舗やホテルなどの内装照明を中心に、照明設計から特注照明の製作まで手がけています。
「緻密な照明設計で、建築やインテリアのディテールを際立たせる」ことを大切にしているそうです。
実際に店内を歩くと、商品や木の架構にはしっかり光が当たり、通路はほどよく落ち着いています。
空間全体を明るくするのではなく、見せたいところに光を置く。
住宅でも、ダウンライトを均等に並べるより、壁や素材を照らしたほうが、空間はぐっと豊かに見えます。
渋谷の猫カフェへ

ここからは、猫と暮らすお客様の家のために、猫カフェ巡り。
1軒目は、円形のソファの中央にキャットタワーを置いたラウンジのような空間。

2軒目は、天井から鳥かごのような棚を吊り、2段の円形カウンターで猫がくつろぐお店。
猫がどんな場所を好むのかは、別の記事で詳しくまとめています。
代々木公園 BE STAGE|原宿へ歩く途中で

渋谷の猫カフェを見たあと、原宿まで歩く途中で見かけたのが「代々木公園 BE STAGE」。
思わず足を止めて写真を撮りました。
2025年に開業した、代々木公園の一角にある公園施設です。
民間の力で公園を整備する「Park-PFI」という制度でつくられ、設計は東急設計コンサルタント。
地下1階・地上3階の建物に、店舗やスポーツ施設が入っています。
曲線を描くスラブに、木のルーバーと植栽が重なり、屋上には緑。
屋外のスケートパークは、建物の中とシームレスにつながるようにつくられています。
建物と公園の境目をなくして、公園の中に建物を溶け込ませる。
神楽坂で見たla kaguの大階段と同じで、ここでも「中と外のあいだ」が大事にされていました。
この後、原宿の猫カフェにも立ち寄りました。
茶洒 金田中|アートと建築が出会う場所

1日の最後は、表参道の「茶洒 金田中」へ。
空間を手がけたのは、現代美術家の杉本博司さんと、建築家の榊田倫之さんによる新素材研究所です。
杉本さんは、海と空の水平線を撮り続けた写真作品「海景」シリーズなどで、世界的に知られるアーティスト。
アーティストと建築家が一緒につくると、空間はどうなるのか。
甘味をいただきながら、じっくり感じてきました。
まず目に入るのが、ガラスの向こうに広がる庭。
手前に苔、その奥に平たい鉄平石を重ねて、山並みや崖のような景色をつくり、一番奥は黒文字の枝を束ねた垣根。
中央には、鎌倉時代のものといわれる小さな石塔が置かれています。
水を使わず、石と苔と垣根だけで景色をつくる。
まさに、現代アートとしての枯山水です。

店内は白を基調に、一枚板のカウンターがまっすぐ伸びています。
榊田さんは、庭と店内の関係を「舞台と観客席」に見立てていると話しています。
カウンターに座ると、ガラスの向こうの庭が、まるで舞台のように見える。
素材の数は少ないのに、ひとつひとつの質感が強い。
石、苔、木、白い壁。
素材を選び抜き、それぞれを主役にする。
今回の素材探しで、一番大事なことを教わった空間でした。
東京ドームホテル|最高のおもてなし

夜は、東京ドームホテルに泊まりました。
東京ドームの隣に建つ、地上43階・高さ約155m、客室数1,006室の超高層ホテルです。
設計は、丹下健三・都市・建築設計研究所。2000年に開業しました。
丹下健三さんといえば、国立代々木競技場や東京都庁舎を手がけた、日本を代表する建築家です。
実はこの日の夕方、BE STAGEのすぐ近くで、その代々木競技場の前も歩いていました。
同じ日に、丹下建築の「見る側」と「泊まる側」の両方を体験したことになります。

ここで印象に残ったのは、建物よりも接客でした。
言葉遣い、所作、すべてが完璧。
まさに「おもてなし」という感じでした。
どんなに良い空間でも、そこで迎える人の振る舞いで、居心地は大きく変わります。
家づくりも同じで、図面や建物だけでなく、お客様との一つひとつのやり取りまで含めて、つくるものなのだと改めて感じました。
1日目を終えて
神楽坂では、同じ建築家の建物を続けて見て、古いものを見抜く眼に触れました。
渋谷では、光の置き方、公園と建物のつなぎ方、そして素材を選び抜いた庭。
どの場所も、素材そのものより「どう組み合わせるか」で空間をつくっていました。
2日目は表参道・青山へ。また紹介します。
神楽坂編はこちら。東京探訪1日目_神楽坂編|隈研吾の建築を続けて見て、古道具の「眼」に触れる
猫カフェ巡りの記事はこちら。猫が好きな場所はどこ?原宿・渋谷の猫カフェ巡りで考えた、猫と暮らす家の設計
