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News & Blog建物巡り1日目_白井屋ホテル|建築・アート・日常が重なる場所
前橋の街を歩き、最後に見たのは太陽の塔だった。
岡本太郎の強い造形と向き合ったあと、同じ街の中に、まったく異なる静けさをもつ建築があることを思い出し、そのまま白井屋ホテルへ向かった。
藤本壮介が手がけた白井屋ホテル。
先月訪れた太宰府天満宮の仮殿と同じ建築家による建築だが、宗教施設とホテルという用途の違いを超えて、共通する思想の輪郭がここにも感じられた。
ホテルであり、アートの器でもある

白井屋ホテルの特徴のひとつは、
「泊まる場所」であると同時に、「アートを体験する場」であること。
館内外には複数のアート作品が点在しており、
建築がそれらを包み込む“背景”として機能している。
このホテルのオーナーはJINSの社長。
地方都市・前橋に、宿泊施設とアートを掛け合わせた場をつくるという意思が、この建築全体から伝わってくる。
ロビーにある、杉本博司の“写真”

ロビーに入ってまず目に入るのが、杉本博司の絵画のような写真作品。
無機質なコンクリートの空間に、静かで強い存在感を放っている。
素材や造形で語るのではなく、
視線を止め、時間の流れを一瞬遅らせる。
そんな役割を、この一枚の作品が担っているように感じた。
レアンドロ・エルリッヒ《ライティング・パイプ》

吹き抜け空間に現れるのが、レアンドロ・エルリッヒによる《ライティング・パイプ》。
実際の配管と錯覚するような色彩とスケールで、空間に強烈なリズムを生み出している。
構造体・設備・アートの境界が意図的に曖昧にされ、
「これは何だろう」と立ち止まらせる装置になっている。
構造がそのまま体験になる内部空間
内部は、コンクリートの構造体がそのまま露出し、
階段や回廊が立体的に重なり合う。
ホテルでありながら、
移動そのものが体験になっている点が印象的だった。
群馬の郷土料理「おきりこみ」

滞在中、ホテルから振る舞っていただいたのが、群馬の郷土料理「おきりこみ」。
建築やアートだけでなく、土地の文化や日常が自然に組み込まれている。
この距離感が、白井屋ホテルを「特別すぎない場所」にしているように思う。
客室もまた、アートの一部

客室の中にも、アート作品がさりげなく配置されている。
派手さはなく、空間の一部として静かに存在している点が印象的だった。
外部から内部まで、途切れない体験

敷地の外から、アプローチ、ロビー、回廊、客室まで。
白井屋ホテルでは、体験が途切れずにつながっている。
建築・アート・日常が分断されず、
ひとつの連続した風景として設計されていることが、このホテルの本質だと感じた。
建物をつくる立場として。
今回は、前橋の建物巡り1日目。
一つひとつは短い滞在でも、朝から夜まで建築を歩き、見て、体感することで、
図面や理論だけでは得られない感覚が、確実に身体の中に残っていくのを感じる一日だった。


